まちづくりとアートの未来をつくる「第2回 札幌駅前通アワード」受賞作品のお知らせ

まちづくりとアートの未来をつくる「第2回札幌駅前通アワード」結果発表

札幌駅前通を中心に札幌を文化的で創造的なまちとして発信することを目的に誕生した「札幌駅前通アワード」の第2回は、札幌駅前通地下歩行空間「チ・カ・ホ」を舞台にまちづくり部門とアート部門で募集しました。過日、厳正なる審査が行われ、 魅力あふれるプランの中から最も5つの審査基準を満たすプランを選出致しましたので発表させて頂きます。

なお賞に選出されたプランは、2022年6月10日(金)〜6月18日(土)にチ・カ・ホを会場に実際に展示いたします。ご応募をいただき、誠にありがとうございました。

 

●第2回札幌駅前通アワード受賞作品

 ○まちづくり部門 最優秀賞 日高 恵理香「よりみちラウンジ」https://erikahidaka.net

 アート部門       優秀賞   佐藤 壮馬「Over the walk (仮)」https://www.somasato.com

 

※応募要項:https://www.sapporoekimae-management.jp/award2021/

まちづくり部門|審査員講評

 ○五十嵐淳|株式会社五十嵐淳建築設計事務所 代表

この企画は国内の実施コンペとしては最小である。作者自身が考案し製作・撤去する緻密な物語(提案)を構築することが不可欠となる。その物語は個人的なものでも良いし、社会的な視点でもよい。地下歩行空間という多種多様な人々が行き交う場において、いかに他者の共感を得られるか、同時にいかに現実的であるか。最優秀賞の「よりみちラウンジ」は形態には少し物足りなさがあるものの、コンセプト・素材・工法など総体のバランスが良く、作者の建築家としての経験値からの予測がみてとれる提案である。

 

○酒井秀治|(株)SS計画代表取締役/まちづくりプランナー

このアワードの肝は、「まちづくり=コミュニティデザイン」という広義の概念を、目に見え使われる場としておとしこむこと、そしてチカホという公共空間の個性を踏まえながら新たな可能性を引き出すことにあると思います。最優秀賞「よりみちラウンジ」は、多くの人が通過する通路機能によどみのような人それぞれの居場所をつくるという、チカホの特殊性・課題に真っ直ぐ向き合ったご提案で、「よりみち」というコンセプトワードからもその眼差しを感じました。提案者の日高さんが日々の仕事の中で目指されている「環境との相互作用から広げる空間」のあり様が芯を通って表現されたものだと思います。

このプロジェクトによるチカホの変容をみることが今から楽しみですし、これをきっかけとして持続的な新たなチカホの活用へと展開することを期待しています。

 

○芳村直孝|札幌駅前通まちづくり株式会社  代表取締役社長

「今回は「チ・カ・ホ」の特性を生かすとともにアフターコロナ・ウィズコロナを意識した企画を募集しました。「チ・カ・ホ」はあくまでも道路空間であり、活用には様々な制約があるため、応募いただいた方も企画提案にあたっては御苦労されたと思います。

最優秀に選ばれた日高恵理香氏の「よりみちラウンジ」は、チ・カ・ホの520mという長さや様々な属性の方が行き交う場所であることを十分に生かした提案になっていると感じました。」

アート部門|審査員講評

○遠藤水城|キュレーター/一般社団法人 HAPS代表理事

今回審査にあたり、まずはアーティストたちのプランの多様さに驚きました。様々なアーティストが、それぞれの方法で表現を「パブリック」に提供しようとしており、その豊かさに感動しました。しかし同時に、人が多く行き交う地下歩道という空間に対して効果的なプランが極めて少ないと感じました。特別な展示空間ではなく、言うなれば野生の公共空間を前に、芸術作品は何を為しうるのか。高いハードルですが、そういった問題設定をもっと感じさせてほしかったというのが正直な感想です。優秀賞となった佐藤壮馬さんは、プランのみならずメディウム/メディアの使用において他と一線を画するクオリティを持っていました。実際の展示を楽しみにしています。

 

○端聡|美術家・アートディレクター

己のアイデンティティとは何であろう。コンペに送られて来た資料を見る限り佐藤壮馬は他者も含む外界と自己の間にある差異に興味を示す。差異は違和感というかたちで佐藤に纏わりつくことから差異を客観的に検証するプロセスとして外界を3Dスキャナー等の無機質な数値データを形に表し、有機体としての己の私的な記憶、感情とのコントラスト(ずれ)をアート表現で試み自らのアイデンティティを探る。この自己を俯瞰するその方法論は一見すると客観性の実現を可能とする行為に感じられるが、選択された外界にも歴史等の記憶が内包され、さらにその選択には佐藤自らの志向性が働いていることから完全な客観性は成立しない。そのことは佐藤も承知であろう。俯瞰し選択された場(空間、エリア)、物から派生する数値等の指標としての形象は、むしろ佐藤にとって主観とも言える造形主義的な発見ではないだろうか。アウトプットされた表現には客観性と主観性が交差する偶発性の美学が存在し、正にその偶発性の発見こそが佐藤のアート表現におけるアイデンティティなのかもしれない。

今回の応募作品プランではアウトプットの方法に多少の弱さを感じた。確かに日に約8万人が通行するチカホの人流を示す数値データをロールフィルム紙15mに印字し吊り下げ展示するプランはミニマムアートとして美しく観ることは可能だが、佐藤本来の表現には行き着いていないように思えた。結果、最優秀賞とはいかないまでも可能性を感じたことから審査員同意で優秀賞とした。

 

○今村育子| 美術家/札幌駅前通まちづくり株式会社

「チ・カ・ホは制作者にとって難しい場所」私がまちづくり会社に勤務してから、10年聞き続けている言葉です。道路であり一日約10万人が通るチ・カ・ホは規制が多く、何かやっても埋没してしまうエネルギーあふれる場であると同時に、この通行量と広場空間の共存は国内でも稀有であり、制作者がまだ見ぬチャンスと出会う可能性と、普段芸術文化に触れる機会のない人々が新しい感性に出会う可能性がある場所です。今回は条件の厳しさがハードルとなりましたが、そのような中でも果敢に挑戦する制作者に出会えたことはとても喜ばしく、私たちにとって大きな収穫となりました。多様な視点を持つアートや建築的発想が私たちの街と生活を豊かにしてくれると信じて、地方都市でも制作者が発表しそれを享受できる小さな機会を作り続けたいと思います。

お問い合わせ先

事務局|一般社団法人PROJECTA 
TEL| 011-211-4366(テラス計画)
mail|terracekeikaku@gmail.com